13週目で受けた 私にとって衝撃のマザークラスの後、
海(まある)助産院の宮川さんにマイ助産師として、
自宅でのお産介助をお願いすることに決めました。
しかし、自宅でのお産にはクリアすべきことがいくつかあって。
・助産師が介助できるお産は「正常分娩」(それ以外は医師の指示、処置が必要)
・私たちのお産9 でも少し触れたGBS(B群溶連菌)が陰性かどうか
・パートナーを含む周囲のサポートがあるか否か
まずは大きくこのあたりでしょうか。
既に産婦人科医の診断を受けていた私と赤ちゃんでしたが、
宮川さんが「妊娠中あるいは分娩中に
医師による介助が必要だと判断した時のために、
提携している病院でも健診を受けてもらいたい。」とのことでした。
断る必要もなく
何なら宮川さんも同席していただけるという贅沢な健診。
お産に対して視点が異なり、
アプローチの仕方も異なる
助産師と医師に同時にみてもらえる贅沢な健診。
なかなかないですよね。
同じ分野だとしても、
異なる業種の方が同時に同じ人(こと)に対して、
リアルタイムでやりとりすること。
自宅出産ができなくなる時 ≒ 正常分娩ができない(もしくはスムーズに進行しない)
つまり、医師の介助が必要になる時です。
その時に、初めて「はじめまして」ではなく、
事前に母子どちらも身体の状態や経過を診てもらえるように
ネットワークを活用してくださる。
意見や対応がぶつかることやパワーバランスなんかもあると思いますが、
何かを達成するために
ひとつだけの側面より
多方向からみた方が起こり得ることへの想定や対処、準備がとりやすい。
逆に混乱を招くこともあるかもしれません。
しかし、事前に考えることによって「私たち」の選択ができる
もしくは、「私たち」の選択に近づける方法を探すことができるわけです。
そして、宮川さんは本当に「私たち」のことを考えてくださるので、
「私の健診はエコー写真の撮影ができないので、もし『エコー写真が記念に欲しい!』と思った時は遠慮なく言ってね。提携病院に予約をいれるから。他にも、もし気になることがあったら『よくわからないけど…』と思っていることも気にせず言ってね。今のこの時しかないことだから、逃して後悔せず出来得る限りやりたいことはやりましょう。」
と最初の時に言ってくださって。
人としても施術家としてもまだまだ未熟な私には、
なかなか専門分野を「他の人に頼る」と言えない、
言いたくない気持ちがあったりもするのですが、
こういう姿勢
感服します。
先日、パートナー 健太が綴った『「プロとして」が向く方向」』
宮川さん自身のバックグラウンドも大きいと思いますが、
助産師として全力で目の前の「私たち」に寄り添う。
そのために必要だと感じたら垣根は関係ない。
目の前の「私たち」
そして、先に見える次なる「あなたたち」のためにやるべきことをやる。
「プロ」としての判断、見極めがそこにはある。
字面の良い「プロ」という言葉を
これ見よがしに連発してくる業者さんに
RKの二人が嫌悪感(憎悪?(笑))を抱くのは
中身のない言葉だと感じるから。
宮川さん、塩見さん、谷川さんに「プロ」の姿勢を感じたのは
浮ついた言葉の表現ではなく、
体現されていたから。
それは、経験年数や開業しているか否かではないんです。
さてさて、そろそろ本題に。
私のサポート病院の初受診は24週目の時でした。
宮川さんと病院のロビーで待ち合わせて
パートナー健太と3人で診察室へ。
もうこの頃には、経膣エコーではないので、
診察ベッドに横になり、医師が腹部エコーを撮る。
そういえば、私の受けたサポート病院の医師は女性ばかりでした…偶然かな。
エコーの当て方が手際よく、
「よく動く子だねー。」なんて言いながら、
パパっとサイズをチェックし、
「ここが左足で、顔がこっち向いてますねー。」
と、画面を指して教えてくださって。
計 4度のサポート病院での健診で3人くらいの医師が診てくださったんですが、
宮川さんにお願いして自宅での分娩を希望している、
と、分かっているので
手際よくチェックしてくれて、
気をつけるべき要点だけ伝えてくださった印象でした。
(私の場合だと、「お産間近のGBS検査が陰性になるように、生活と身体整えましょうねー」といったふうに)
そして、検査技師さんもおられるので
28 週目の時に、時間をかけて赤ちゃんの状態をチェックする
胎児エコーの日もありました。
仕事の合間を縫ってパートナー健太と合流しサポート病院へ。
不思議ですが、病院での検査の日、
私が緊張するからなのか、赤ちゃんも少し動き少なめで
私も若干、全身が強張るというか硬い印象が毎回ありました。
宮川さんの健診の日はむしろ楽しみで、
そんなこと全然なかったから不思議です(笑)
私の赤ちゃんは頗るエコーが嫌いで、
妊娠初期の産婦人科医院でのエコーでも
いつも逃げ回っていました。
なので、28週の時点で性別をエコーで確認することに
医師たちは成功していなかったのです(笑)
しかし、その日は胎児エコー。
検査技師さんが
赤ちゃんの状態をチェック(心臓の大きさや、成長のバランスがよいかなど)
をするために時間をかけてエコー検査していただける日なので、
医師もその時には「確認できるはず!」と。
私たちは、「産まれるまで分からないのもいいじゃない」と思っていましたが、
その先生の人間味が垣間見えて
なんだか嬉しいようなほっとする感じがしたのを覚えています。
エコー検査はだいたい20~30分くらいの予定でした。
「仰向け」が苦しかったらいつでも言ってね、と
若い技師の方が気遣かってくれながら始まりました。
先ほども書いたように
病院の検査日は赤ちゃんも緊張気味なのか、あまり動きません...
…エコーのプローブが当たるまでは(笑)
横で見ていたパートナー 健太が
「どこに足があるかわかるくらい」
お腹の赤ちゃんは動き回っていました。
技師さんも
「おぉ~、元気な赤ちゃんですね!!なかなか静止してくれない(汗)」と。
逃げ惑う赤ちゃんは、
恥じらいがあるのか、
ユーモアセンスがあるのか、
ミステリアスな演出を好むのか...
ようやく技師さんが
「性別!確認できるかもしれません!!」
「…」
「…ん!?あれ???」
「へその緒を脚の間に挟んでいて、確認できないですね(^_^;)」
「あ~、動いちゃったー。その体勢は...エコー撮りにくいんだけどな~」
なんと、赤ちゃん。
へその緒を脚に挟んで性別を隠すだけじゃなく、
ようやく動きが止まったと思ったら、
私の背骨に向きあって小さく丸まる
(超音波の届きにくい深いところでプローブに背を向けて丸まる)
という、技師さん泣かせの体勢を選ぶ(笑)
そこで、若い技師さんは
ベテランの技師さんを呼んで来てくださって
ベテラン技師さん「どこまで確認できた?」
若手技師さん「心臓と顔のパーツと性別も確認できてなくて...」
ベテラン技師さん「あら~、隠れん坊好きな赤ちゃんやね。」
不思議ですけど、
こういった一連の出来事の中にも
人との触れ合いや
赤ちゃんも含めて個性が感じられます。
倍の時間かかって検査が終わり、
私は次の仕事に慌てて戻ることになるのですが、
そんなことも振り返りながら笑える。
そういったことを、 穏やかに受け止められる余裕があることは 私にとってとても幸せなことでした。
同じ週の別の日に胎児エコーの結果を聞きに病院を受診したわけですが…
この日は結果を聞くだけの予定だったので
宮川さんの同行はなし。
「私たち」だけの受診でした。
診察室に入って話を聞くだけかなー?と思っていたら、
「お母さん、ベッドにお腹出して寝てね~」と。
「あ、今日も診てくださるんだ~」なんて思って横に。
その時(結果を聞きに行った日)、
赤ちゃんは逆子(私の頭と同じ向きに頭がある)の状態だったんです。
すると、医師は「念の為、来週も受診するように」
私とパートナー健太は
「最近よく動いていて、頭の位置がよく変わるけれど受診が必要か」
と尋ねました。
すると医師はもう一度
「念の為。このままお産まで逆子だと帝王切開になるから…」
と、『逆子体操』なる体操の用紙を医師から渡され
「別にやらなくてもいいですよ~。参考程度に~」と。
一応、病院での受診予約を取り、
「…う~ん。」
やらなくてもいいようなことを伝えて心配だけ煽られても…
…って今日、診察しないって話じゃなかったかしら?…なんて事を
帰り道二人で話しました。
そして、宮川さんに電話で
胎児エコーの結果と来週も受診するように言われたこと
「私たち」は今の時期(28週目)からそんなに
心配が要らないと思うのだけれど…と
率直に伝えました。
宮川さんも
「その通りだね。結果だけじゃなく診察もしてくださったんかー。
今、逆子でも玲子さんの状態も含めて
心配はあまりしていないよ。」と。
「ただ、もう一度エコーを撮る機会ができたわけだから、
予約も抑えたことだし、嫌じゃなければ受けてもいいんじゃない?
次の病院行く日は、『下に頭をむけててね~』と伝えておくといいよ(笑)」
と、一息つかせてくれました。
そして、一週間後の病院。
宮川さん同行という心強いカードを引っ提げて(笑)
診察室に入ると、念が通じたのでしょう(笑)
赤ちゃんはしっかり頭を下に向け、
エコーから逃げ、
「性別確認をさせてくれない~」と医師泣かせな遊びをし、
「問題なし。順調です。」
と、あっけない受診終了のゴングが鳴る(笑)
「なんじゃそりゃ(笑)」
と、拍子抜けの二人に
宮川さんが「良かった一安心。」と優しい笑顔で応えてくれる。
こういうやり取りが「私たち」にはたくさんあったわけですが、
ない状態で不安を抱え心配し、
身体も心も関係も
疲弊している人たちが大勢いることを知っています。
そんな人たちがひとりでも一家庭でも減って
それぞれ家族の新たな一歩を後押しできることはないか、
「私たち」も
宮川さんたち「助産師」も
考えています。
きっと「医師」たちも考えています。
病院での健診の時、
もうひとつ宮川さんの丁寧な仕事に触れることになります。
毎回の健診の始まる前と終わった後、
宮川さんは「ちょっとごめんね。」と
病院の助産師さんや、看護師さん、医師や、技師さん、
分け隔てなく丁寧に挨拶をして、
コミュニケーションを取っておられたんです。
時には、私たち以外の妊産婦さんや赤ちゃんの情報共有もされているようでした。
短い時間だろうと関係なく、
「今」だけでなく、
「先」も見越した「繋がり」をつなぐために。
今日、健診を受ける「私たち」だけでなく、
今後の次なる「あなたたち」に
主体的に「お産」に臨んでもらうために。